駐輪場に自転車を取りに行く時、かなりの確立で感じる視線。
隣のアパートの15センチほど開けられたあの窓から射られてくる。
毎夏、あの窓には三色のヤグルマギクが咲く。
お世辞にも”ハンギングバスケット”と呼べる体裁ではない植木鉢を苦心して並べ、これまた窓辺に植えるのに相応しいとは言えない草丈の高い一年草のヤグルマギクだけを毎年植え続け、大事そうに愛でながら、その隙から虚ろな表情で始終外を窺っている中年女性。
私は視線がクロスするたびに、花の意味と彼女の想いを想像する。
ヤグルマギクの花言葉は、
「教育」「信頼」「デリカシー」「優雅」「独身生活」
だそう。
何のヒントにもならず。